離婚調停ってどういう感じ?(連載第1回)
1 はじめに
離婚など家庭に関する事柄を裁判所で話し合う手続きとして「家事調停」という手続きがあります。
家事調停の申立ての方法などは、家庭裁判所のホームページに記載があるほか、家庭裁判所の家事手続き受付センターに行けばその詳細を聞くことが可能です。
インターネットの情報や、裁判所で手続について案内をうけ、なんとか申立てることはできた!という方でも、その後、最初の調停期日までどういった準備をしておけばよいのか、当日はどういった流れになるのかイメージできないのではないでしょうか。今回のコラムでは、札幌家庭裁判所に離婚調停を申し立てた場合を例に、当日までに準備しておいた方がよいことや当日の流れについて取り上げます。
2 調停の日程
⑴ 初回の調停日程
札幌家庭裁判所に離婚調停を申し立てると、後日、調停の日程を知らせる封書が届きます。初回の調停が都合の悪い曜日に決まると困りますよね。そこで、日程についてご自身のご希望を反映させたい場合は、離婚調停を申し立てる際に「進行に関する照会回答書」を提出してください。裁判所で申立書の書式を受け取った場合は、申立書と一緒に渡されます。
↓用紙はこちらのURLでみることができます。
https://www.courts.go.jp/sapporo/vc-files/sapporo/file/huzokusyorui-huuhukankeitoutyousei.pdf
申立時に、「6 調停期日で都合の悪い日等があれば書いてください」という項目に、希望する曜日や都合の悪い曜日を記載しておけば、可能な限り希望に添った日程になるよう配慮してもらうことができます。
また、相手方と一切顔を合わせたくない!というときは、「7 裁判所に配慮を求めることがありますか。」という項目に、同席したくないこと、顔を合わせないですむように配慮して欲しいことを書いておくと、顔を合わせないで済むように配慮してもらうことが出来ます(もちろん、偶発的に会うことは避けられないのであくまでも「可能な限り」です。)。DV被害などがある場合は、相手方よりも先に帰ることが出来るようにしてほしい(待ち伏せ防止のため)といったことも記載しておくと良いでしょう。
通常、1ヶ月後くらいの日程を入れてもらえますが、申立ての時期によっては、もっと後の日付になってしまうこともあります。
⑵ 2回目以降の調停日程
2回目以降の日程は、双方の都合を聞いた上で調整してもらうことができます。
3 初回の調停までの準備と持ち物
家庭裁判所の調停期日に行く際、次のものを用意しておくと便利です。
⑴ 伝えたいことや時系列で出来事をまとめたメモ
調停では、申し立てた人(手続では、「申立人」といいます。)と申し立てられた人(手続では「相手方」といいます。)がそれぞれ別の待合室に通され、順番にそれぞれの意見を聞かれることになります。
基本的には、30分毎に交代することになりますが、想像よりもあっという間に時間が過ぎ去ってしまいます。特に、緊張しているとうまく言いたいことが言えなかったり、時系列をとっさに思い出せなくて質問された事項に対しきちんと答えられなかったりということが起こりえます。
そこで、初回の調停までの間に、結婚してからの出来事を時系列でまとめておくと便利です。
まずは、交際を開始した時期、結婚した日、子どもがいれば子どもの誕生日、転居したことがあればいつ、どこに転居したのかといったこと、別居していれば別居日を記載し、その間を穴埋めしていくと書きやすいです。自身や相手方に関するイベントや、子どもの入学、卒業というイベント等があれば、そういったことも書いておくと、その前後でこのときこういうことがあった、ああいうことがあったといった事柄を思い出しやすくなり、出来事を付け足してやすくなります。
⑵ 当日の持ち物
ア 申立書の控え、家庭裁判所に提出した物及び裁判所から届いた書類すべて
申立てをする際に家庭裁判所に提出した書類のコピー(複写式の物を利用した場合は、複写式の控え)、家庭裁判所から届いた書類すべてを持っていくと間違いがありません。一式をひとつのファイルに入れておくと、持っていくのを忘れた・・・ということを避けられます。
提出を求められている資料がある場合は、自分用、家庭裁判所用、相手方に渡す用の3部を持っていきましょう。相手方に見せたくない情報(例えば住所などを秘密にしたい場合など)については、あらかじめ黒塗りにしておいてください。話し合いをスムーズに進めたい場合は、お互い可能な限り提出を求められた書類を提出することが望ましいです。
イ ノートとペン
調停の場でいわれたことなどをメモするために必ず持っていってください。次回までに書類などを提出するように求められることがありますので忘れないように記載してください。
家庭裁判所が相手方の言い分を聞いている間、30分ほど待つことになりますので、その間に自分の言いたいことをメモにしておいたり、言い忘れたことがないかを確認したりするのに役立ててください。
ウ 手帳など翌月以降の予定を確認できる物
前記のとおり、次回の調停の日程を決めますので、翌月以降の予定がわかる物を持っていってください。家に帰らないと予定がわからない、帰宅して予定を確認したら都合が悪かったなどということが起こらないようにしましょう。
エ 時間を潰せる物
とにかく待ち時間が長くなります。時間を潰せるアイテムを持っていくと手持ち無沙汰にならずにすみます。携帯はたっぷり充電しておくことをおすすめします。
※本連載第2回目では、調停当日の流れについてご説明します(8月14日公開予定)。
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