家事従事者(主婦・主夫)にも休業損害は認められます
1 休業損害とは
交通事故により傷害を負った場合、加害者に請求できる損害の一つに「休業損害」があります。
「休業損害」とは、一般に、被害者が交通事故で負った傷害の療養期間中に、その症状や通院のために休業したことによって生じた収入の減少をいいます。
例えば、交通事故により骨折の傷害を負い、事故当日から10日間入院して、この間会社を欠勤したとします。
この10日間の欠勤を理由に給料が減額された場合には、加害者に対してその給料の減額分を「休業損害」として請求することができます。
2 主婦(主夫)にも休業損害が認められるのか
この「休業損害」は、専業主婦(主夫)や兼業主婦(主夫)といった家事従事者にも認められます。
しかし、家事従事者は、家事により、現実に収入を得ているわけではありません。
そこで、家事従事者の「休業損害」を算定する場合には、家事従事者の収入を、統計上の女性の平均賃金額に相当する額と考え、日額を算出します。
その上で、実際に家事が制限された範囲に応じてこの家事従事者の収入が減少したと考えて、家事従事者の「休業損害」を請求することが可能とされています。
例えば、先の例と同様に、専業主婦(主婦)の方が、交通事故により10日間入院して、この間一切の家事が出来なかったとします。
この場合には、会社員の方が10日間分の給料を減額されたことと同様に、家事従事者も10日間分の収入が減少したと考えて、上記日額の10日間分の休業損害を請求することが可能です。
ちなみに、専業主婦(主夫)の場合には、上記のとおり統計上の女性の平均賃金額を家事従事者の収入として考えます。
他方、兼業主婦(主夫)の場合には、現実に受け取っている給料などの収入と、家事従事者の収入額とされる統計上の女性の平均賃金額を比較して、いずれか高い方の金額を採用して「休業損害」を算定します。
3 まとめ
このように、家事従事者であっても「休業損害」を請求することが可能です。
しかし、家事従事者は家事を休んでも現実に収入が減少するわけではないので、「休業損害」が発生しないと誤解されている方が多くいらっしゃいます。
また、加害者(加害者側保険会社)から示談金額の提示を受ける場合に、この家事従事者の「休業損害」が一切含まれていないという例も少なくありません。
主婦(主夫)の方であっても「休業損害」の対象になりますので、示談の際にはくれぐれもご注意下さい。
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