労働問題コラム「能力不足などを理由に解雇された場合はどうしたら良いのか」(元裁判官・労働審判官 弁護士内田健太)
1 相談内容
−「能力不足や欠勤が多いことなどを理由に会社を解雇されました。どのように対応したらよいでしょうか」
2 基本的な対応
⑴ 会社が解雇の理由とする事実に争いがない場合
解雇という処分は、労働者としての地位を一方的に失わせる強力な効果を有するものですから、法律上その有効性については様々な制限があります。
そのため、仮に欠勤など会社が解雇の理由とする事実が実際にあったとしても、解雇が法的には無効とされる場合は決して少なくありません。
解雇が無効となる場合には、会社に対して雇用契約が存在していることの確認を求めることができるほか、解雇以降未払いとなっている給料や、慰謝料の支払を会社に求めることが可能な場合もあります。
解雇が無効となる代表的な例は次の通りですが、それ以外の場合でも、解雇の効力を争える場合はあります。処分に不満がある場合には、一度弁護士に相談することを検討することをお勧めします。
問題とされる事実はあるが、就業規則には根拠がない場合
懲戒解雇ではない普通解雇の場合、就業規則に解雇の根拠規定が存在することは必ずしも必要ではありません。しかし、就業規則に示された解雇事由にあたらない事情を理由に解雇された場合は、後に述べる解雇権の濫用として、無効な解雇と評価される可能性が高まるといえます。
問題とされる事実はあるが、それでも解雇権の濫用と認められる場合
労働契約法は、解雇という行為が労働者に与える影響の大きさなどを踏まえ、解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当」と認められない場合(同法16条)や「やむを得ない事由」が存在しない場合(同法17条)には解雇権の濫用として解雇を無効とする旨規定しています。
解雇権の濫用となるか否かは、会社が主張する解雇理由の重大性、解雇に至るまでの経緯など様々な事情を踏まえて判断されるため、必ずしも明確な基準はありません。それだけに、裁判になった場合にどのような結論になるかの見通しが、裁判に至る前の交渉や労働審判の段階にも大きく影響します。
私は、裁判官時代に労働審判官としていくつもの労働審判事件を担当しました。これらの経験や、類似の裁判例の調査を通じて、裁判となった場合の見通しをいち早くお示しできるよう努力します。
⑵ 会社が解雇理由としている事実そのものに争いがある場合
また、当然のことですが、会社が解雇の理由として主張する事実が存在しない場合には、当該解雇は無効になります。
会社が不確実な根拠に基づいて解雇の理由となる事実を一方的に認定する場合は少なくありません。そのような場合には、①弁護士を通して解雇の理由となる事実が存在しない(認めるだけの証拠がない)ことを指摘して懲戒処分の撤回などを求めたり、②労働審判や民事訴訟を提起して解雇の効力を争うことが考えられます。
3 まとめ
解雇は、労働者の地位を一方的に失わせる強烈な処分です。それだけに、法律上様々な制限が設けられており、解雇が無効とされる場合も少なくありません。
私自身、裁判官時代に労働審判官として解雇を巡る多くの労働審判を担当してきました。その経験をもとに、裁判になった場合の見通しをふまえ、依頼者の方の要望を踏まえ、方針を決定していきます。
是非、ご相談ください。
はじめての方でもお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ
お悩みや問題の解決のために、私たちが力になります。折れそうになった心を1本の電話が支えることがあります。
10名以上の弁護士と専門家のネットワークがあなたの問題解決をお手伝いします。まずはお気軽にお問い合わせください。