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倒木による樹木の占有又は所有者の責任(連載第2回)

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3 樹木の倒壊に台風が寄与していても免責されないのか?

 連載第1回でご紹介した裁判例は、樹木の倒壊に台風が寄与していた事案でしたが、裁判所は台風が倒壊に寄与したという事情があっても、樹木の支持に瑕疵がある限り、樹木の所有者の責任は免責されないとして次のとおり判断しました。

「自然力の作用によって工作物の倒壊被害が発生した場合にも、工作物の瑕疵が倒壊の一因を成している関係が認められるのであれば、所有者は工作物責任を免れない」

 そして、台風が激甚で何ら瑕疵のない木が容易に倒壊するという程度のものではなかった当該事案においては、倒壊についての樹木の所有者の責任は免れないとして次のとおり判断しました。

「本件台風の接近時に本件事故現場に最寄りの今市観測所で観測された最大瞬間風速は20.2メートル毎秒程度にとどまり、台風接近時に本州で20メートル毎秒を超える最大瞬間風速の観測値がしばしば報じられていることは、当裁判所に顕著な事実に属することからすると、少なくとも本件事故現場付近で吹いていた風が稀にみる猛烈な暴風であったとは言い難い。そうすると、本件台風が関東各地に大きな被害をもたらした近年では屈指の強い台風であるとされ、本件台風によって生じた被告が所有する杉並木の倒木数が過去30年間で最多の34本に上ったことを考慮したとしても、その他の1万2000本余りの杉並木は倒壊していないことからすれば、本件台風の接近によって通常の防災上の想定を遥かに上回る尋常ではない暴風が吹き荒れて、何ら瑕疵のない木までもが容易に倒壊してしまうほどのものであったとは認められない」

4 対策

 民法717条に基づく樹木の占有又は所有者に関する責任は厳しく、傷んだ状態の樹木をそのまま放置しておくことは、当該樹木が倒壊した場合に損害賠償義務を課される危険につながります。 この様な危険を避けるためには、所有されている土地の樹木の状態を今一度確認し、場合によっては伐採等を行った方が良いでしょう。 なお、所有されている土地がお住まいの地域から遠く離れている場合には、土地の管理自体が困難となりますので、その様な場合には土地の売却も考慮に入れられてはいかがでしょうか。

 

 

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