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【所長コラム】北海道金属じん肺訴訟との出会い④~裁判の使命は、人権と社会正義を守り、人間の尊厳を守ることにある
札幌弁護士会所属、村松法律事務所所長 弁護士の村松弘康です。
前回の続きです。
【所長コラム】北海道金属じん肺訴訟との出会い③~自分達を使い捨てた会社に対する怒りの意思表示をする
北海道には国のエネルギー政策の拠点として、かつて243の金属鉱山と、140の炭鉱が存在していました。
じん肺患者こそ、今ある日本の繁栄を地底から支えてきた人たちなのです。
会社は「コンニャクを食べればじん肺は防げる」「じん肺はナマケ病だ」と言い、粉じんの危険性を語ることはありませんでした。裁判では、すでに時効が成立しているから損害賠償金を支払う義務は無いとも主張しました。
「人間の怒りと苦しみに時効はない」
これが原告患者や家族の叫びでした。「生命あるうちに解決を」と裁判の迅速な進行を要求したのです。
73回の口頭弁論を経て、1992年(平成4年)4月24日に結審しました。
1992年(平成4年)7月10日から27日までの間に集中的に和解協議が行われ、全ての被告との間で消滅時効なし、全員救済の和解が成立したのです。
この裁判も解決まで12年に及びました。
裁判の使命は、基本的人権と社会正義を守ることにあります。人間の尊厳は最大限尊重されなければならないのです。
「誰のせいか、誰が悪いのか、どうしたらこの様な苦しみを少なくすることができるのか。」
と問う原告の皆さん声が、今も耳元に聞こえています。
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