【所長コラム】弁護士になりたてで携わった、北海道クロム訴訟(1977年)①~ 13年7ヶ月に及ぶ裁判が始まる
札幌弁護士会 村松法律事務所 所長 弁護士の村松弘康です。
弁護士としての第一歩は、いきなり現場に投げ込まれて始まりました。
実は、クロム訴訟原告団が結成された1977年(昭和52年)4月、札幌弁護士会に入会しました。
何もわからないまま、というよりも弁護団の森越清彦弁護士に誘われるまま、車に乗せられて栗山町(北海道)通いとなったのです。
栗山町に日本電工株式会社の工場があった町で、原告の方が多く住んでいました。
午前中に栗山町に到着してから夕方まで、患者さん宅で工場での作業内容などについて話を聞き、陳述書を作ることが仕事で、帰りはいつも夜遅くでした。
疲れていてもNOとは言えなかった、、、というより、疲れを知らない日々でした。
栗山クロム訴訟は、日本電工を相手に損害賠償を求めた裁判でした。
1977年(昭和52年)1月17日に栗山クロム訴訟弁護団が結成され、5月15日には原告団を結成、5月30日に提訴。
1985年(昭和60年)3月19日に第1審判決(認容額2億0900万円)が言い渡されましたが、控訴し、1990年(平成2年)5月24日に控訴審が結審、同年12月25日4億5000万円で和解が成立しました。
実に13年7ヶ月に及ぶ裁判でした。
被告の日本電工は、1935年(昭和10年)から1973年(昭和48年)6月まで、栗山町の工場でクロム酸塩などの生産を続けました。
工場で働いていた作業員は、六価クロムを含んだ粉じん・ミストを吸入し、液剤に被爆するなどして、鼻中隔穿孔・肺がん・上気道がんなどに罹患する健康被害を蒙ったのです。
(次回へつづく・・・)
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